一つのこと / ある女子の場合
1つのことに拘りを持つのは、良くも悪くも考えさせられます。
ですが、何かしら人に負けない拘りを持つのは素敵なことではないでしょうか。
技や行動のスピード、強さ、返事、積極的に手を挙げる、とか何でも良いのです。
それらをたまに意識したり、私に言われてから出来る生徒は沢山います。
それだけでも意識したことが出来るのは素晴らしいことだと思うのですが、やっぱり、どんな状況だろうがどんな心理状態であっても自らの意思で一つの事で勝負出来るのは「強み」といえます。
私も内弟子になって2年目かな、緑帯から茶帯(上級者)になる頃でしょうか。
先輩からは「スネイル」と呼ばれていました。
カタツムリのように技のスピードが抜群に遅かったのです。
瞬発力には自信があった私ですが、それを体が忘れる程に稽古への取り組み方が後ろ向きでした。
内弟子になりたての頃は、料理も掃除も出来ないし、英語も話せなければ、先輩たちは皆黒帯だし。
私だけ白帯でしたからね。
スイミー in アラバマですよ。
無意識のうちに全てが諦めモードだったんでしょう。
ホント、ダサくてジレッタイ、そんな時期でした。
勿論、端から諦めていたつもりはありませんでした。
ですが、当時はそのことに気が付く能力がなかったのです。
ただ、人間、継続して成長していくと自然な意欲が湧いてくるものです。
加えて、内弟子の「やらざるを得ない(葛藤できない)」環境がそれを後押ししました。
いつしか、稽古中は全ての技、動作、返事をそこにいる誰よりも強く速くやることが癖になっていました。
何か明確なきっかけがあったわけではありませんが、そういうタイミングだったのでしょう。
結局、いつまで継続したか覚えていませんが、全てのクラスで誰よりも速く強く稽古しました。
「だから何?」と思われるかも知れません。
具体的に何かが改善されるとか、それこそ自信になる、そんな何かを期待していたわけではありません。
でも、今思えば、あの時の積極的な意識と行動で胸を張れたことがきっかけで、自信が付き今に至るわけです。
さて、道場でもそんな「強み」をもった生徒がいます。
先ずは小学5年生の女子。
彼女は入会して間もない頃に、稽古での「座ること」と「立ち上がること」を誰よりも速く行っていました。
結局、それは今でもいつも継続中です。
周りも彼女に釣られて一生懸命に立って座る子達が増えています。
これ、無意識のリーダーシップ、彼女のパワーです。
ですが、困ったことに合宿でもそれをやってしまったのです。
道場の床はマットですが、合宿の体育館はフローリングでした……。
そんな一辺倒な行動がたまにきずではありますが、それでも、長い間ずっと高い意識と本気の行動が出来ている事実の方が断然大きな意味を持っているのではないでしょうか。
その自信があるからこそ、彼女は今となっては明確に課題も認識出来ていると思うのです。
課題は、行動を選好む所があり、積める経験に制限を掛けていることです。
選好みや思い込み、拘りが強いということは、一見、人一倍苦手なものが多い。
そんな気がしますが、それは気にすることが得意ともいえるのです。
そもそも、自分が「これだ」と思う事に関しては、抜群の集中力で挑める能力に長けているのですから。
「今の挑戦と経験は将来のため」と理解して、挙句「とりあえずやってみよう」という事自体に拘りを持つようになれば、何にでも向き合える、彼女の場合は何にでも一生懸命出来ると思います。
ただですよ、ここまでゴチャゴチャ言っておきながらなんですが。
大きな視点で見ると、彼女は今まで大会や講習会、先日の合宿と全てのイベントに参加しています。
しかも、あまり葛藤も無いようで、挑戦に対しての潔さと瞬発力も持ち合わせているのです!
組手なんかも、とても一生懸命やるのですが、以前は何時でも誰にでも同じチカラでしか技を出すことしか出来ませんでした。
ただ、今では相手によってコントロール出来るようになり、組み立ても出来るようになりました。
また、立ち方や技の特徴を掴むのが上手くなっています。
特に、合宿以降は稽古中の発言も多くなり彼女の中で「やれば出来る」と既に理解しているのではないでしょうか。
さて、彼女はいつもニコニコと素敵な表情で稽古しています。
それは、自信があるからでしょう。
「絶対に負けない一つの事」を持っている強みです。
面白いというか、良く出来てるなと思うのは、長く続けた結果でようやく掴むことが出来る自信ですが、同時に課題も見えてきてしまうんですよね。
ただ、自信を掴めたからこその明確な課題です!
だからこそ、長期にわたり一生懸命出来る、ずっと自分を大切にし続けられるのは素敵なことだと思います。
行動を豊かにすれば、物の見方や感じ方も豊かになる。
将来役に立つ素晴らしい経験が出来ていると思います。
さて、次回は小学3年生、男子のケースをご紹介しますのでご期待ください!
それでは。
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