きになる星人

あれは、私が高校生の時だった。
学校には自習室があり、そこの机は正面と側面に胸の高さくらいの壁がある。
半個室状態で「勉強がはかどる」と言いたいところだが、部活三昧で疲れた体を休めるには格好の場となっていた。
いつの日か、なんだか気になる視線を感じるようになっていた。
誰かがこっちを見ている気がしてならない。
壁の一か所が人、というか宇宙人。
プリント合板の木目が、いわゆる人面だったのだ。
気になるし、木に成っているから「きになる星人」と、もうウン十年前の記憶なんで曖昧だけど、誰彼問わずに成り行きで、そんな名前が付いた気がする。
以来、たまに手に取る参考書は頭に入らないし、今なお木目を見るとその「仲間」がいやしないか気になって仕方ない。
まあ、捉えようなのだろうが、気にする事は大事な時もあれば、気付かないほうが幸せな時もある……。
さて、稽古の話。
生徒は各自の課題がある。
でも、どうしても空手の優先順位は下位に沈む。
現代っ子は習い事も多いし、そもそも中学高校生達は勉強と部活が忙しい。
でも、やる子もいるのが事実というもの。
課題だけを与える、それは造作もないこと。
こっちが「課題と向き合え」と言って皆それが出来るのなら、それもまた苦労しない。
そこは、挑戦あるのみ。
課題と向き合う手始めに、その課題が生徒にとって気になる存在になれば、向き合うきっかけになると思う。
この時点で、課題に関して「気付かない方がまし」って事もないだろうし。
はて、どうやってその気にさせるか?
これが、最近の私がもっぱら気になっている事案だ。


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