2025 TN祭
前の晩から降り続く冷たい雨は、昼過ぎには止む予報でした。
また雨か……。
折角なので「雨にまつわる話でも」そう考えていました。
ですが、話す事は出来なかったのです。
会場の使用時間を過ぎてしまい、年間表彰が出来ませんでした。
まとめも出来なければ感謝を伝える事さえも。
生徒達は、今年一年を一生懸命に稽古してあらゆる経験と自信、ドラマを作ってくれました。
その表彰が出来なかったのは痛恨です。
大変申し訳ありませんでした。
さて、生徒達はとても良く頑張りました。
特に上級者のリードは素晴らしかったです。
各々が自身の課題への意識と行動を溢れんばかりに見せてくれました。
体験された方々も、本当に一生懸命取り組んでいただきました。
一昨年、昨年とリピートされる方も増えています。
本当にありがたく思います。
今回は「感謝と成長を無理して演じる」そんなテーマで行いました。
体験は、40分間で「白帯の全ての課題をこなす」と早速、無茶をしました。
実際は、この時点で約15分オーバーでしたが……。
さておき、白帯が、空手が「こんな感じ」と体験を通じてご理解いただけたと思います。
皆様、とても明るくて楽しいひと時でした。
発表会は、先ず各帯毎に技を披露します。
上級者の積極的なリードが光りました。
続いて、板割りです。
最後まで諦めずに皆が割ることが出来ましたが、それよりも、皆の応援と歓声が力強くて温かかった。
それが良かったです。
さあ、次は型。
初級者達をリードした彼は、10月に行われた型の試合で最低点を取ってしまいました。
流石にその時彼は落ち込んでいました。
私もショックを受けました。
立ち方、技、組手のイメージと全てがイマイチで決めがありませんでした。
このまま今年を終わらすわけにはいけない、と、今回、私は彼にリーダーの打診をしました。
すると、彼は即答でそれを受け入れました。
最低点は誰よりもショックを受けるし一番悔しい結果だと思います。
反面、その思いを力に変えて悔しさをぶつける事は誰よりも出来るはずです。
結果的に彼は見事に演じていました。
自信を掴んだ表情がそれをものがたっていました。
挑戦しなければ、失敗も落ち込みや恥をかく事だってありません。
ですが、自信を掴む事も成長する事も不可能です。
また、失敗で終わらせてしまえば後悔にしかなりませんが、それを活かしまた挑戦すればいつか必ず成長します。
一時の嫌な想いは挑戦の原動力にすべきです。
すると、全ては良い経験として自分の中で上手く収めることが出来るのです。
彼はそれを証明してくれました。
ありがとう。
さて、稽古を始めて間もない幼年の生徒は、何がなんだか理解していないと思います。
ですが、この小さな挑戦と経験が積み重なると、それはやがて大きな自信と成長へと繋がるのです。
それに、彼等のお陰でリーダー達は学び、挑戦出来るのです。
これ、互いの感謝の基本形だと思います。
型からの演武
続いて中級者です。
リードしたのは、それぞれ1年生と2年生。
文句なしの格好良さでした。
さあ、いよいよ上級者の登場です。
茶帯が演じるトンファ。
上級者故の責任は時に重圧を与えます。
緊張する生徒もいましたが、自分の課題とよく向き合う姿はさすがは上級者、立派です。
さて、お待ちかね、黒帯の登場です。
発表会と言えば、黒帯は型か武具を使った演武かの2択。
ですが、今回は「無理をして経験と自身の可能性を広げる」ということで挑んでいます。
「黒帯が無理をしないでどうする！」
考えた挙句、浮かんできたのは演武に留まらずに演劇でした。
彼等にそれを伝えたのは、10月の下旬。
流石は黒帯ですね、内心はさておき皆すんなりと受け入れていました。
この時点では、まだどこかに疑いの念があったかもしれません。
ですが、いざ練習を始めると、皆真剣に役を演じてくれました。
彼等は行動と挑戦に疑問と葛藤はありません。
全てが貴重な経験と理解しているからです。
本当に誇らしい黒帯達です。
私の師匠の最高師範も映画を作っていますが、突き詰めると方向性は似てくるのかも知れませんね。
（因みに、その映画ですが、来年はYouTubeでようやく公開になるそうです。）
私も内弟子役で出演していますが、勿論、最高師範に役を打診された時は、何の迷いもなく即答しました。
師弟関係だから、ではなくて黒帯だからです。
黒帯達が演じた青春ドラマは、後輩達や見学された方々に何となくですが、明るい気持ちになってもらえた気がします。
黒帯達、よく頑張りました。
さてさて、ここで会場を去る制限時間いっぱいとなってしまったのです。
こんなに頑張った黒帯に一言も言ってあげられませんでした。
この作品にどんな思いが込めてあるか、何を伝えたかったのか……。
何も言えませんでした。
この後に予定していた今年の表彰式は中止にせざるをえなくなりました。
折角、体験してくた方々と見学された方へお礼も出来ませんでした。
とてもとても悔しいです。
生徒達を温かい目で見学された方々。
体験を一生懸命に取り組んでいただいた皆様。
いつもご理解とご協力くださるご家族の方々。
当日、良く後輩達をリードしてくれた上級者と生徒の皆。
時には勇気や希望を与え、優しくもあり逞しくも強くもある頼れる黒帯達。
皆様のご協力のお陰で、TN祭を盛大に開催する事が出来ました。
皆様の存在があるからこそ、今年も重厚な挑戦と濃密な経験、それから溢れんばかりの成長を見届けることが出来ています。
心から感謝しております。
さて、今年の稽古も残すところあと10日程となりました。
丁寧に、感謝を伝えながら2025年の稽古を締めたいと思います。
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