観て、試して、感じて、組手

ほんの少しだけ空が高くなり風が優しく感じるようになりました?
覇気のない蝉の鳴き声や、やっとこさふらふらさまよう蚊の動き。
これだけ暑い日が続くと、ほんの少しの秋の気配にも割と大袈裟に喜びを感じるものです。
それこそ、こっちは「過ぎ去る夏の切なさ」をほのかに覚える世代なので。
さて、道場では組手の特別講習を行いました。
36名の参加は、ウチのイベントとしては割と少な目の人数ですが、夏休み明け早々という悪いタイミングを考えたら妥当といえます。
それぞれが、それぞれの課題を探しに貴重な経験が出来ました。
まだ組手をした事のない白帯3名が挑戦してくれました。
組手の感覚が理解出来たと思うし、声援も受け取る事が出来ました。
先輩達の組手を見る事も貴重な経験になったでしょう。
何よりも、わからない事、初めての事に対して挑戦出来た事はとてもとても立派です。
また、彼等の積極的な姿勢を見た生徒達は、初心を顧みては今の成長を理解出来たのではないでしょうか。
後日、その内の1人が、いつになく意気揚々と稽古に来ました。
荷物を置き、身支度を済ませると私の所に来ました。
「班長って強いですね!」
彼は入会して間もなくの合宿にも参加してくれましたが、その時の班長を指していたのです。
これが組手の経験です。
続いては初中級者。
彼等は、組手の軸となるコンビネーションの確認が出来ました。
組手のコツ、多くの生徒が抱える問題点等を認識出来たと思います。
それは、普段の稽古でも同じです。
ですが、こうして特別な機会に挑戦することは印象深い経験となり、意欲的に今後の稽古に活かされます。
何度か組手や試合を行うと、苦しさや怖さと難しさを理解します。
すると、挑戦に葛藤が生まれる。
葛藤こそが辛いわけですが、ここが今後の成長への大きな分岐点といえます。
「やるやらない」の差が出始める時期なのです。
経験の差は、自信と成長に与える影響をデカいし、上級者になった時にその差は歴然です。
さあ、そんな上級者です。
組手の技術的な事は引き続き追いかけてくれたら良いと思います。
彼等は、態度も声掛けも上手いし、やはりリーダーとしての振る舞いは毎度感心させられます。
特に、中学生は合宿での活躍そのままに、気遣いと行動が積極的且つ自然に出来ていました。
中には受験生もいましたが、良い子確定なのでねもう合格あげてください!
はて、大人の生徒は大人ゆえの難しさがある。
頑固さや素直さ、豊富な経験は活きる事もあれば邪魔する時も。
そんな時に、子供達と同じ目線で挑戦するのってアリだと思います。
自信の掴み方や、例えば稽古の仕方は同じだからです。
子供の視線って残酷とも言えますが、素直に受け取り表現してくれます。
「子供だから○○」と言い訳出来ても、大人の場合は「大人だから○○」って期待されちゃいますからね。
ですが、ウチの大人生徒達は真っすぐ稽古しています。
上手く行くときもそうでない時も潔い姿勢で挑めています。
その姿は、きっと見ている子供達の希望や手本になるでしょう。
同じ大人として感謝と敬意を表したい。
さあ、最後に黒帯です。
皆同様に、黒帯ならではの課題は当然あるわけです。
私も彼等に求めるものは繊細かつ大きくなるし、彼等もそこは当然と言わんばかりに自然な姿で挑戦しているように見受けられます。
今回も課題と向き合い、各自が成長を感じて自信を掴んだと思います。
同じ黒帯としてこちらも感謝、尊敬しています。
彼らは、全階級の課題を技術的、精神的にも乗り越えて今があります。
黒帯が後輩に優しいのは、同じ境遇を経験してきたからです。
彼等もまた、先輩達にそうされてきましたからね。
さて、今回も様々な事が起きました。
経験の豊漁でした。
でも、何が得られるかもわからない。
だから、観て、試して、感じて……。
「わかる」とは経験した人の特権です。
それでは。
TAGS: 子供・挑戦・生徒・組手・経験 | 2025/09/12
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