6割の奇跡

道場を出して20周年とは最近もお伝えしましたが、私がアラバマで内弟子になったのが1997年の8月です。
来年には、あれから30年が経つんですよね。
私が今までの人生で、長く続けたものをまとめます。
小学3年生から野球を始め、中学でサッカー部に入りますが野球はクラブチームで続けていました。
ですが、気が付けば野球よりもサッカーにはまり、高校サッカー部を経て大学時代は部活以外にも社会人チームに所属して、ほぼ毎日の様にボールを蹴っていました。
月刊誌の発売日には、コンビニに猛ダッシュ。
決まって2冊をむさぼるように読んでいました。
それで、アラバマにもサッカーボール持参したわけですが、帰国の度に機会があれば所属していたクラブチームの練習にも参加して、公式戦にも駆り出される事がありました(当時は、日本サッカー協会のチェックがアバウトだったのです)。
道場を出してからは、学生時のメンバーが所属する草サッカーチームで月に数度プレーしていました。
そういえば、いつからやらなくなったのだろうか、不思議と覚えていないんですよね…??
私の中では、ずっとサッカーをやっていた気がしていたのですが、大学までの10年間。
その後のちょこちょこを入れても10数年。
何だか切なくなるほど短いんですよね…。
いや、空手が長いんですね。
30年ですから。
いつの間にやら、人生の6割は空手をやっているということに我ながら重みを感じます。
「空手をやりにアメリカに行く!」
友人に切り出した時には、皆唖然としていました。
私も、空手をここまで続けるとは、その時は全く思っていませんでした。
工業デザイナーを目指して大学時代を過ごしていましたが、結局、将来を迷うことになりました。
そこに「アメリカで空手の内弟子」の話が舞い込んできたのです。
空手には、多少は興味がありました。
ですが、どちらかというと嫌いな部類でしたから当然行く気なんてゼロでした。
にもかかわらず、それ以来ずっと頭に残り次第に考えるようになって行ったのです。
アメリカという事で「英語が将来役に立つ」それに「空手をやれば強くなれる」そう思いました。
当初は「3年」という話だったので(後に卒業の5年に自然となっていったのですが、これは最高師範も私がここまでやるとは思っていなかったのだと思います)、それも、渡米に気持ちを前向きにさせた要因でした。
中学で3年、高校で3年のバリバリ運動部の経験をもとに、「1年目は頑張る」「2年目は中だるみ」「最後はスパート」と3年間の生活リズムを軽く解釈していました。
それでも「決意」には至らずにモヤモヤしていたある日、私は車を運転していました。
狭い路地に入った時です。
反対側から車が向かって来ました。
私が先に入っていたのですが、私が後ろに下がり道を譲りました。
「なんで俺が譲らなきゃいけないのか……」そうウジウジしていた時です、ふと「空手で強くならなきゃいけない!」そう思ったのでした。
本当に、くだらないことが決意の一押しとなったのです。
因みにですが、今も変わらずに道は譲ります。
ですが、笑顔でそうします。
結局、大学卒業した春の内に、内弟子になる事を決めました。
本当に、あの数か月の出来事はまるで魔法でも掛けられたんじゃないかと思うほどに不思議です。
「行くわけない」からの展開の変化があまりにも急ですからね。
そこから、ビザの取得やらなんやら渡米の準備に数か月掛かりましたが、それなりにランニングや筋トレをしていました。
勿論、サッカーも続けていましたし、相変わらずサッカー雑誌の発売日にはワクワクしていました。
それにしても30年って長いですね。
当時の記憶は、要所は覚えていますが断片的になっています。
時代も違えば景色も変わる。
それだけでなくて、色や匂い、流れてくる音までもが変った気がします。
1997年8月2日、奇しくもその日は最高師範の誕生日でした。
私は、アラバマに向けて成田を発ち、時差の関係で同日、内弟子生活が始まりました。
人生って不思議というか面白いというのか、何がどうなるのかわかりません。
もともと「嫌々」で始めた空手ですが、それも今は昔。
今でも、ふと、この30年の歩みは夢か奇跡と思えるような何とも言えない不思議な感覚があります。
何はともあれ、貴重な経験をさせていただいているのには間違いなく、感謝が尽きる事はありません。
「やれば印象が変わる事がある」
「継続して本質が見えてくる」
そんな事を、身をもって経験出来た事が最大の学びであり収穫だと思います。
壁にぶち当たっている、悩みや不安に陥っている、そんな暗中模索の中もがくのは、決して気分の良いものではありません。
ですが、今、一時の気持ちに右往左往するよりも未来を見据えて「構えを決める」つまり、やることをやる。
継続で本質が見えてくる場合があるのです。

2026/10/30


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