饅頭のすゝめ

老舗の菓子屋で饅頭を買った。
おやつは稽古前のささやかなモチベーションとなる。
思いのほか時間が掛かってしまう諸々の仕事に区切りをつけて席に着く。
饅頭だろうが、いつものアイスコーヒーもいつもの場所へスタンバイ。
そそくさと饅頭の入った紙袋を開けると、ガビーン。
饅頭が足りない。
家族の分もついでに買ったのだが、一つ足りない。
ガックシと肩を落とすと、レシートを確認してから店に電話を入れた。
店員さんのミスだった。
だが、店員さんのとても丁寧な応対に、憤りはどこ吹く風、となっていった。
「そこまでしなくても」と断ったのだが、「そこまでしないと」という店員さんの心は強くて、結局、店員さんが饅頭一つをわざわざ家まで届けてくれる事になった。
暫くすると、妻から連絡が入った。
「店員さんが饅頭と、お詫びにマドレーヌを持ってきてくれた」
店側は当然の対応というかもしれないけれど、店と店員さんの誠実さがこの上なく伝わった。
同時に、私自身の感謝の幅が狭い事に、じくじたる思いが溢れてきた。
人間、ピンチの時にこそ、その人の真価が問われると思う。
また、逆境の時にこそ思いやりに気付いたり感謝を感じやすいと言える。
むろん、饅頭が食べられなくなったくらいでココロが荒れているようじゃ話にならないのだ。
組手もそうで、その人の実力を試すには、強敵と戦うしかないわけだ。
型もそう、自信をつけるためには失敗すべき。
失敗出来るのは稽古している人の特権だから。
そりゃ、色々起きるだろう。
そこから、自身の苦手な個所を見つけることが出来るのだ。
それは、自分だけの宝物。
宝が見つかれば、より意欲的に稽古出来る。
すると、いつか何処かで苦手個所の克服に成功した事に気が付く。
成長の把握は、自信に繋がる唯一の手段だ。
そんな経験を繰り返す内に、ようやく失敗よりも経験が、不安よりも挑戦を大事にするようになる。
絶好調の時ってベストを尽くすのは簡単す~ぅ。
失敗した時や不安な時、ストレスを感じたり動揺した時。
こんな、ピンチの時にベストを尽くすことが出来る人間でありたい!
さあ、人生、山あり谷あり饅頭アリ。
谷を決して嫌がることなく向き合う事が出来たなら、山も饅頭も、いつしかもっともっと美味しく味わう事が出来るだろう。
もうちょっとしたらまた買いに行ってみようと思う。
では。
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