うんとこしょ どっこいしょ 可能性をひきあげろ!

道場で、可能性のたねをまきました。
「色々挑戦出来るように……」
「大きな自信を掴めるように……」
「上の帯に負けないようにガンバレ!」
「私より強く出来るか!?」
それで、殆どの子供達はそれに乗ってくるわけですが。
例えば「火を噴くくらいガンバレー!」なんていうと「シハン、人間は火なんか噴けません!」なんて、愚直と言いますか、確かにごもっともなんですが「それを言っちゃあおしめーよ」的な反応もあるのです。
ストレッチをします。
「よーし、天井に手が届くまでのびてみよー!」
「シハン、天井に手なんか届きません!」
ワキを締めます。
「よーし、ワキを一番擦って誰が一番先に火を起こすか競争しよう!」
「火なんか出ません!」
「そこにゴジラはいるか?」
「いません」
「マリオになれるか?」
「なれません」
どれここれもごもっとも。
いや、確かにそうなんだけど、この手のタイプは、自信がないと出来ない、行動に移せない傾向にあります。
身体よりも頭で考えてしまうからです。
組手でも迷うとエビの様に後ろに下がったり(エビじゃない!)。
型だと動揺して、まるでしぼみゆく風船のように委縮したり(風船にはなれない!)。
と、そんな感じです。
とは言え、一点の曇りない正直ものですからね、真面目なのは素晴らしい才能だと思います。
でも、「出来る可能性」という意味では、やっぱり勿体ない。
でもですよ、ここをただ「上からの説得」とはしたくはありません。
折角の素直さを否定する気にはなれませんでした。
ここは一か八かの勝負に出ることに。
「空を飛べるか?」と尋ねると、案の定「飛べるはずありません!」と。
私は、目一杯にジャンプをして空飛ぶ格好をしました。
「シハン、それジャンプですよ!」なんて返答を想定していましたが……。
間髪入れずに「どうだ、飛んでる内にはいらないか?」と聞くと、よやく納得した様子を見せました。
「ヨッシャー」
私の中で打ち上げ花火があがりました!
こうなったら畳みかけるのがスジというもの。
「ウサギと亀」だって、亀が最初から「僕、亀なんでね……」なんて言っていたら物語は成立しない。
「大きなカブ」も、「大きなカブは抜けません」なんて言い放っていたら、何十年もの間、人々の心を鷲掴みにしてきたあの掛け声だってなかったわけです。
何となく彼の表情が変わってきました。
彼の苦手な型をやりました。
「不安な人?」と聞くと彼は真っ先に手を挙げました。
不安だから動けなくていいのか、チカラが入らなくていいのか?
不安なら不安なりの勝負の仕方がある。
稽古している自分を信じてやってみるしかないのだ。
「よーい」
「1!」
号令を開始すると、彼は誰よりも速く強く、そして正確に技を決めたのでした。
「今、打ち上げ花火があがっただろ?」
「特大のやつがあがりました!」
彼の素直さと笑顔が爆発すると同時に、私の中でも祝砲が鳴り響いた気がしました!
今回の生徒は勿論、端から諦めているわけではありません。
ですが、やっぱり気持ちの持ちようと物事の考え方で行動が大きく左右されるのはあるわけです。
自分の可能性を広める事は、物事に対し一生懸命向き合う意味でも有効だと思うし、一生懸命さって胸張れる部分だと思います。
「やってみよう」
「出来るかもしれない」
不安な時に「自信がないから」と言い訳をする子は多いですが、それは違います。
試さないから、挑戦しないから自信がないのです。
やってみて、挑戦した先に出来ることを知る。
それが自信です。
うんとこしょ、どっこいしょ、とうとう可能性をひきあげました!!!
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