うれC王冠カルテット!!!!

生徒達が壁にぶつかり、向き合い、乗り越えた時の瞬間は、何事にも代えがたい喜びを感じるものです。
先日はこんなことがありました。
その日の中級(5、6級)クラスは雨ということもあり男子4人だけの小クラス。
リーダーは5級の6年生。
その他、2年生が3人で内1人は6級です。
先ずはリーダーからいきましょうかね。
愛嬌があり明るく積極的な態度を取ることが出来る。
反面、要点を意識する事が苦手で、波に乗れなくなるとゴチャゴチャ考えてしまう。
この日は、帯と年齢の立場、経験から見ても、彼自身がリーダーを意識しやすいのは明白です。
型の稽古をしましたが、中盤以降にようやくリーダーの意識はしていました。
ですが、動きが一番遅い。
自信の無さが影響して迷いながら動いているからです。
本来は、咄嗟に何かをやったり、大きな声を出すことも彼の中では容易なこと。
ですが、不安な時は組手も型も全力を出せずに何となくモヤモヤこなしてしまうのでした。
これは、他の3人にもそうだし、生徒皆が陥りやすいことです。
特にやるべきことが決まっている型は顕著にその症状が出やすいといえます。
自信って全力で出来て初めて掴むことが出来るのです。
また、たとえ間違ったとしても全力で取り組むからこそ間違った事が明白になる。
だから、胸張って訂正出来るから挙句「正解」を覚えることに繋がるのです。
さて、そんな迷える彼には、単純に一番遅いのだから速さで勝負するように促しました。
型なので、号令毎に勝負させました。
結果的には7勝7敗。
たった半分かもしれませんが、彼が意識して取り組んだことが大きいのです。
意欲的に取り組むからこそ7勝に気が付くこと、それが重要なんです。
彼はようやく一つの型に自信が持てた様子で、まるでオウマグロの様な済んだ綺麗な目と笑顔が良くマッチしていました。
次は、2人いる5級2年生の内の1人。
実は彼、6級の審査で一度落ちています。
ですが、そこで掴んだ明確な課題にバッチリ向き合い、次の機会には素晴らしい内容で合格した経験を持っています。
彼は、不安があると動揺が身体を支配してキョロキョロオドオドするタイプでした。
だから、審査で経験した通りに課題を明確に持ち、向き合うしかないのですが。
でも、護身なんかを考えた場合に課題だ何だなんて考える暇はないわけです。
咄嗟に判断と行動しないといけません。
つまり技を自分で判断して「決め」を作るのです。
彼はもう中級者なのである程度の経験を積んでいます。
稽古の仕方、技の決め方も身体では理解しているはずなんです。
握るところは握りる、引手をとるところは引手をとる。
その日の終盤、彼は自分のチカラで技を決めることが出来ました。
そうです、カタチはそのあとついてくるもの。
彼は苦手な型をようやく自分のものにしたのでした。
彼のフクロウのようなピカピカ輝く目を見たのは審査以来で、普段の稽古では初めての事でした。
身体は小さくてもなんだかとても逞しく見えました。
もう1人の2年生。
彼といえばガンコちゃん。
道場にもそれなりの数のガンコちゃんが在籍しますが、彼らの特徴は自分のペースで稽古してしまう。
周りを気にして競争することもなければ、何を考えているのだかボケーっとすることも多い(多かった)です。
でも、そんな頑固さは決して悪い事ではありません。
ガンコちゃんの武器は頑固さなのです。
決めたこと、理解したこと、納得したことには全力を出すことが出来る。
ということは、素直さに対しガンコになることが出来れば、これ最強かもしれませんね。
素直さとガンコさの相反するものの共有なんてありえない。
そう思う人もいるかも知れませんが、私は出来ると思っています。
現に、彼はその日それを見事にやってのけてくれましたからね。
素直に課題と向き合い、素直に周りと競争して動いた彼は、周りが皆間違えていたことろを1人目線と技を決めたのでした。
そんな彼の姿を見たのは初めてでした。
巷では運動会の時期ですが「ヤアレン ソーラン……♪」と、なんだか威勢の良いBGMが聞こえてきた気がしました。
皆を活気づける事の出来る力強い姿はとても格好良かったです!
さあ、最後はこの日唯一の6級です。
現在2年生の彼は、昨年まで私の中のあだ名がありました。
「甘えん坊将軍」です。
昨年までは親に対しての甘えがとにかく目立つ子でした。
少しでも気に食わないことがあると小さな将軍は不貞腐れてウジウジウジウジするのでした。
8級か7級の時もそれがあり、白帯の目の前でそんな態度を取るもんだから、1度は白帯に戻したこともありました。
でも、それらは彼の中でとっくに過去の良い経験と処理されています。
転機が訪れたのは6級を取得した時です。
中級者となりクラスも変わる。
環境が変わるタイミングは大きく成長する機会といえます。
それら機会に気付く事が出来るか、使いこなす事が出来るか。
帯やクラスが変わっても「ただ嬉しい」では自信に変換する事は出来ません。
やってきたこと、改善出来た事、またなかなかうまくいかない事も含めてそれが結果です。
それらを認識して初めて感謝や我慢を実感する、そういうの全部含めて自分を大切に出来る、それが自信だと思っています。
彼は今まで大会をやれば挑戦するし、発表会があれば参加します。
可能な限りの挑戦をしてきているのです。
私はイベント事の魅力は印象に残る経験が出来ることだと思っています。
彼は全てのイベントを挑戦しながら着実に自信を掴んできた自負があると思います。
だから、6級になり環境が変わったことも彼は大事に意識出来たのではないでしょうか。
より意欲的に稽古するようになりました。
今では5級に臆することなく、自然に競争出来て普通に勝つことも増えて来ました。
そんな彼にはもう一つ課題というか癖がありました。
私の問いかけに対しての返答に人の真似をしてしまうことです。
ですが、そこでの態度の以前との大きな差、変化があります。
真似しても動揺せずに、正しい答えを言い直すことが出来るようになりました。
そもそも真似してでも積極的に発言する癖が彼にはついていたのです。
同時に、真似する回数も局単に減っています。
恐らく1学期中に彼の真似する姿は見られなくなると思います(そう思うと少し寂しいですが……)。
今では、全くやったことない5級の課題をいきなりやってもついて来ます。
彼の中で、やるべきことを理解しているんだと思います。
その日も、彼のパフォーマンスは素晴らしくて、このクラスに来るようになってからのいつもの彼と同様に素晴らしいパフォーマンスを見せてくれていました。
思わずケイレイ!したくなるほどに彼の成長には敬意を称したい。
これは皆に言えることだけれど、親御さんにも感謝大です。
さて、私はクラスの出席者をノートにまとめているのですが、そこで、特に良く出来た生徒には王冠マークを付けることにしています。
この日の中級クラスの4人には、今までにない程の立派な冠をつけておきました。
それが4つ横並びした姿は圧巻です。
嬉しかったです。
さて、如何だったでしょうか。
クラスってそのほとんどは上手く行きません。
予定通りには行かないものです。
勿論、そんな単純なものではありませんが、クラスはある意味で生徒と私の勝負だと思っています。
私の負けが断然多いですけどね。
ともすると「負け」に慣れてしまうのではないか、と不安になる程負け込んでいます。
でも、今回の様に生徒それぞれが各々の課題と向き合い、皆が意識し合い切磋琢磨して良いクラスをつくる。
指導者冥利に尽きる思いです。
クラスの締めでこういいました。
先ずは、この調子でこの1年を過ごすことが出来たら間違いなく4人共に今年の躍進賞を取れる!
もう一つ。
2学期って慣れや中だるみが重なりトラブルが起きやすい時期。
でも、夏休み前に各自、明確に課題と向き合い乗り越える事実をつくったことは大きい。
後は、その事実を意識して繰り返し癖にすれば、揺れる2学期が始まる頃には大きな成長(変身)を実感出来るだろう。
生徒達、いつも格好良い姿を見せてくれてありがとう。
では。
コメントを残す