無理じゃない無理やり大作戦!!

生徒はいつも何度も成長する姿を見せてくれています。
嬉しくもあり、とてもありがたいことです。
特に子供はまだ自由な挑戦が出来ますからね。
ただ、今の時代ってあまり無理をさせることを避ける風潮があるように感じます。
生徒というかその子の性格や意志任せの指導なのか接し方だとちょっと勿体ない気がします。
意見の尊重も良いですが、使い方を間違えると指導者側の横着につながるリスクがありますからね。
例えば、性格やタイプはそれぞれあるわけです。
特に今の子供達をみていると「人と話すのが苦手」という子は結構いると思います。
じゃあ、話すのが無理だから話さなくてもよいのでしょうか?
話すのが苦手と決めつけてないでしょうか?
苦手そうだから無理と諦めるのは、指導される側もする側も簡単です。
そんな中でも「話すことも出来る」って経験しとくのはアリだと思います。
性格とかタイプって数字で測れるものでもなければ正確な点数をつけられるものではありません。
所詮「何となく」の範疇にしておくべき項目だと思います。
生活する中で、自分でそう思うようになったのか誰かに言われたのがキッカケとかですよね。
何となく自身のタイプを知る事は大事だと思いますが、それはあくまでも現状把握です。
それを基準に挑戦出来ると経験量は格段に増える。
物事をポジティブに捉える可能性も広がると思うのです。
未来への可能性をなにも何となくの現状内に留まる必要はありません。
寧ろ現状をより良くしたり、時には変えようとする意識はもっと積極的に持って良いはずです。
そもそも成長は皆望むものだと思います。
それって変化を望むわけだから、積極的に可能性を求めた挑戦は大それた事ではありません。
可能性を広める挑戦の仕方や自身が思う性格やタイプに対しての考え方、意識の持ちよう、それから行動の仕方を経験しておいた方が豊かな将来を迎えることが出来ると思います。
さて、先日は道場内でこんなことが起きました。
小学3年生の最近中級者に昇級した子です。
皆が知るほどの消極的な態度が目に付く生徒です。
ただ、彼は昨年大きく変身したのを私もそして周りの子達も知っています。
今では積極的に手を挙げる回数も発言も増えています。
そして、構え(姿)を気にすることも昔に比べて格段に良くなりました。
見学していたご父兄からも「○○君凄く変わりましたね」と嬉しいお言葉もいただきました。
ですが、まだまだ彼自身が少しでも不安な時は動揺が色濃く表情と態度に出ます。
確実な答えがわからないと行動に移すことが出来ません。
「試す」ことが出来ないのです。
そんな感じのほんとお吸い物のようなとてもソフトな子です。
物事をとても素直に受け止めるタイプと言えます。
「1」を覚えるまでには時間が掛かるけど、一度覚えたら「1」は確実に出来る。
でも、それが「0.5」や「1.5」いや、「0.9」や「1.1」になると素直なあまり「判らない」「出来ない」という意識が身体を支配して動揺を起こすのだと思います。
という事は、時間を掛けてありとあらゆる経験を積めばそこはクリア出来る。
そんな彼が容易に想像出来るわけです。
彼が【とりあえず身体を使ったり答えたりと試してみたら「1.1」が出来た】という事を理解出来るまで、経験量を増やすことが出来れば良いだけのはなしだと思います―。
ある日のクラス前のことです。
子供達はストレッチ(風)をやっています。
ただ、白帯で4歳の子は白帯で4歳の子なりにボ~っとしていました。
近くにはたまたまその中級者になった彼がいたのです。
白帯をリードするよう私に促されました。
……。
案の定、何もしなければ何も話しません。
彼はモジモジしながら目で「ヘルプミー」と私に訴えてくるのです。
リーダーを放棄しているのです。
彼がこういうのは苦手と勿論私は知っています。
想定通りと言いたいところですが、最近のクラス内での彼の成長ぶりも知っている私は「ひょっとしたら白帯の子の目を見て彼なりに話しかけてくれてないかな~」なんて淡い期待をしたのですが……まあ、そうは問屋が卸しませんって。
放っておくのもアリかと思ったのですが、ここはジャジャ~ン!
「無理やり大作戦!!!」決行の時が来ました。
内容云々よりも「会話出来た事実」が彼の可能性を広める経験となり、自信に繋がる気がなんとなくしました。
「好きな食べ物」と「好きな食べ物」を聞いてみることにさせました。
はて、ここが彼の優れているところなのですが、今度は一切の躊躇なくすんなり聞いていました。
言っても出来ない子もいますし、昨年までの彼なら聞けなかったと思います。
中級者の自覚がそうさせたと言ってもイイでしょう。
確かにまだまだ彼の中では出来た実感よりもやらされた感が強いと思います。
ただ、放っておけば恐らく逃げていたに違いありません。
そんなこんなの彼の性格と行動は組手でより鮮明になります。
技自体はこの数か月で劇的に強く速く正確になっています。
ただ、相手と向き合うととたんに技を出せなくなります。
恐らく彼の中の技のイメージは自分だけが攻撃するものなんだと……。
でも、そこは皆同じです。
組手経験が浅い生徒がいきなり相手もイメージするのは不可能です。
ただ、組手は相手も攻撃するわけで、自分のイメージ通りにはいきません。
すると、彼の中で戸惑いが生じて動きを止める。
動きが止まるから相手の攻撃をもらい後ろに下がる。
これが、今の彼の現状だと思うんですよね。
組手の試合は決まった時間内で戦うわけだから時間配分、というか時間を気にした稽古が必要です。
その中で時間内を攻撃し続ける体力が望ましいわけです。
その為に、普段の稽古も「息を上げる稽古」を行います。
ココが苦しい稽古の一つになるわけですが、彼は上級含めた全員の生徒の中でも一番と言っていい程に息を上げることが出来るのです。
技を出し続けるのは言うほど簡単ではありません。
私の場合は、内弟子という立場と最高師範や先輩方の「うるさい」リードのお陰で出来るようになりましたが、1人では絶対に出来なかったでしょう。
人は疲れてきたら休むようになっています。
わかっていても自然にサボるのが普通です。
ですが、彼はあまり表情も変えずに技を出し続ける才能を持っていたのです。
ハッキリ言います。
この才能に恵まれた彼は、稽古を続けさえすれば必ずいつか優勝候補に挙がるようになります。
恐らく今の彼を知っている人は皆信じないかも知れませんが、組手ってそういうものなんです。
さておき、こんな感じである意味無理やりやらせます。
入り口はこっちがプッシュしてやらせたとしても、そこに理解を示し納得した上で次は彼自身がそれをどう身に着けるかを学び稽古する。
彼にとっては、未来に活かすことが出来る財産になると思います。
時間を掛けて変身という成長を果たすことは間違えなく彼の自信につながるはずです。
こんな経験は、普段の生活にも活躍出来ないわけがありません。
成長の可能性を現状や思っているタイプの範囲内で模索するよりも、それはそれとして挑戦や自信を掴む事に関しては貪欲でありたいものです。
性格やタイプ、得手不得手を理解した上での挑戦の仕方、自信の掴み方を身に着けることは大事だと思います。
その為にも、私は指導者やリーダー的立場の人のプッシュはある程度必要だと思っています。
ただ、それには指導者やリーダーが生徒や子供達の気持ちが理解出来なければ、恐らく伝えることは出来ないでしょう。
これこそ、経験がものいう世界です。
さて、彼の次なる目標は組手で下がらない事です。
恐らく来月の試合には間に合うと思います。
皆さん、彼の試合は乞うご期待です!
それで、恐らく夏休み前には後輩達へのリード、特に会話での変化、成長は望めると思っています。
私の勝負でもあります。
では。
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