2025TNカップ ~生徒が伝えてくれたこと~

TNカップが終了しました。
大会に向けた普段よりも少しキツい稽古では色んなことが起きました。
その先ず大きな一つの壁を乗り越えて当日を迎えたわけです。
ですが、当日が近づくにつれて、暗い表情と重い空気を背負って稽古に来る子供達が次第に増えていきました。
緊張するってことはその対象と真面目に向き合っている証拠です。
でも、緊張しているから下を向く、返事もろくにしない、チカラを出せない。
これは良くありません。
ここで格好つけないと今まで頑張ってきた本人にも、そして、一緒に稽古してきた皆や、サポートしてくれているご家族にも失礼な事。
1人の人間が下を向くのも自分ならば、前を向き胸を張るのも自分です。
気持ちはよくわかりますが、状況により構えを崩すのではなくて、こういう時こそ姿構えを大事にしてほしいです。
経験を積めば、自然とこの手の緊張に対するこなし方やいなし方は身に付くものだと思います。
さて、兎にも角にも生徒達はこの1月半の間、みなよく頑張りました。
普段より少しキツい稽古を皆でこなしたからこそ互いの気持ちが理解出来たと思います。
稽古終盤にはようやく自然に皆で声を掛け合い助け合ったり、意地を張り合い競い合いながら互い認め合い感謝し合うことが出来るようになりました。
前回も書きましたが、その姿って自然に美しくて格好良い。
逞しくもあり立派でした。
個々が自身の存在意義や役目も認識出来たと思います。
すんなりとは理解出来ない物事に対する評価や事件が起きてしまう複雑な世の中ではあります。
教育も複雑とよくいいますが、何が複雑って「上手くいかない」が前提の接し方がしにくくなっていることかも知れません。
ネットやら何やらで、理想や答えばかりが先走りしている実情ってあると思います。
教育の根幹は本当はとてもシンプルだと思うし、また、シンプルでなければいけない気がします。
人に伝わりにくいからです。
伝える側と伝わる側の双方が悩み、考え、向き合う中で自然なヒントが見えてくる。
そう思っています。
伝える側はどうしても「失敗したくない」と思う気持ちがあると思います。
でも、失敗するから悩むし、考えることが出来るわけで、だから時間を掛けることもできるのです。
大変かも知れないけれど、それだけ経験を積めるわけで、そこから想像力も育むことが出来るし、人の気持ちもわかるようになる、というこです。
それに、失敗した時の対応や失敗を活かすことを学ぶ事って私はとても大事だと思っています。
人間皆大小あれど失敗しますからね。
それって失敗しないと学べません。
ちょっと長くなりましたけど、生徒達はそんなこんなを私に伝えてくれた気がします。
さあ、ようやく試合内容に入ります。
初心者のテーマは「組手のベースを理解する」でしたが、そこは良く出来たように見えました。
中上級者はベースの質の向上と各自で狙う技(散らす技)の精度を上げる、というものでした。
全体的にそこはあまり出来ていませんでした。
ベースも狙う技の精度もどれもが中途半端になっていた印象です。
恐らく、戦い方は理解しています。
稽古では一つ一つの技の質は向上していました。
ですが、組手は様々な特徴をもった相手と異なる状況があります。
絶対的な基礎体力(ここでいうそれは、相手の技をある程度受け止めることの出来る筋力と、相手の攻撃や体制に構わず打ち合える強い技、それらを止まらないで最初から最後まで繰り出すことの出来るスタミナ)があれば、自分の技やコンビネーションに頼ることが出来るのですが、そこまで鍛え上げるのはプロでもない限り不可能です。
後は、相手の特長を2,3想定した対処法をそれぞれ身に着ければ、迷いはなくなります。
迷いの中の組手やコンビネーションは闇雲になりがちでリズムが狂い思うような流れを作る事は出来ません。
戦い方が理解できるからこそのストレスも感じることでしょう。
私も内弟子時代のこの時期は、暗中模索の稽古が続き、悔しくて涙を流したり、稽古を手伝ってくれている生徒に八つ当たりをしていましたっけ(酷)。
この結果を踏まえた上で、今度の合宿はいくつか想定した状況に対応する技の出し方や動き方等を追いかけるのは面白いかも知れない、と思っています。
そんなこんなで、恐らくモヤモヤしている生徒も多いとは思いますけど、今が一番伸び悩む時期だし、小学高学年から中学生などは体が急激に大きくなることでバランスも崩しやすい。
でも、こうして出てくる課題は明確です。
それはちゃんと前に進んでいる証拠です。
いつも通りに胸張っていつも通りに課題に向き合えばよいのです。
いずれ一山を乗り越えることを思えば、どうせなら大きな山の方が魅力的。
生徒達本人は悩ましい状況に困惑もするでしょうけれど、成長の過程においてここまでたどり着いたということです。
極々当たりまえの良くある図式だと思います。
勿論、定めた課題を克服出来た生徒も多く見受けられました。
また、昨年では見られなかった意地を張る姿や悔しがる表情、逆に長く克服できなかった課題を乗り越えることでの嬉し泣きする姿もありました。
どれもこれも素晴らしい経験に違いありません。
各自、結果を受け止めて課題や自信を持ち、今後の成長に繋がる結果として捉えてくれたら良いと思います。
さて、我々がこうして貴重な経験を重ねることが出来るのもご父兄の方々のご理解とご協力があってのことです。
いつも本当にありがとうございます。
生徒達、今回もよく頑張りました。
皆のお陰で皆が貴重な経験を積むことが出来ています。
いつもありがとう。
今後も、一つ一つの挑戦と経験を大切に、自然なかたちで前に進もうと思います。
それでは。
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